自然素材の家について、すべての情報を紹介sponsored by 石田工務店
自然素材の家を建てるとき、構造体や塗り材以外にも大切なのが断熱材です。断熱材は住まいの断熱性能を上げるだけでなく、調湿や長期間の維持にも関わってきます。
もし素材の特徴を知らずに設計・建築してしまうと、せっかく自然素材の家を建てたのに十数年でダメになってしまった…なんてことが起こるかもしれません。
長持ちする自然素材の家を建てるためにも、断熱材について知っておきましょう。
断熱材は大きく「化学生成材」と「自然素材」の2種類があります。化学生成材はさらに繊維系と発泡プラスチック系に分けられ、それぞれ異なる特徴の断熱材として使用されているのです。主な種類は以下のようになっています。
化学生成材 | 繊維系 | グラスウール ロックウォール |
---|---|---|
発泡プラスチック系 | ポリスチレンフォーム フェノールフォーム ウレタンフォーム |
|
繊維系 | セルロースファイバー ウール セルロースウール 木質繊維 炭化コルク |
断熱材の価格は化学生成材と自然素材で全く異なり、セルロースファイバーやウールなどの自然素材は、グラスウールやロックウールと比べて4~6倍ほどの費用がかかると言われています。
自然素材を重視した家を建てたいなら断熱材にもこだわりたいものですが、予算的に難しいこともあるでしょう。その場合、構造体、外壁などと組み合わせて、予算内におさまる断熱材を選ぶのがおすすめです。
漆喰には消臭、殺菌、自浄、防音、抗菌などの効果の他に、断熱性能も持っています。無数の凹凸があり、空気を取り込む空間を持っているのがポイントです。この空間があることで断熱材のような役割を発揮し、過ごしやすい住宅の実現に一役買っています。
漆喰を外壁に塗るという事は、断熱材を用いているのと同じような効果を期待できるのがメリットです。家の内部に熱を伝えず、良好な室内環境を維持しようとします。外壁、内装に漆喰を使用することで、漆喰が持つ優れた性能が期待できるでしょう。
珪藻土も断熱効果としては漆喰と同じ構造なので、同じ効果が期待できます。七輪は珪藻土からできていることから、熱に強いのも魅力です。
セルロースファイバーは天然の木質繊維でできた断熱材で、古新聞やダンボールなどを細かく裁断して燃えにくいように加工が施されています。繊維の間だけではなく、繊維1本1本の中にも小さな空気の層を含ませているのもポイントです。これにより、断熱性能を発揮してくれます。吸音性もあるため、室内のオーディオや楽器の音、外の騒音などが気になるという方におすすめです。
木ならではの吸放湿性も持っており、湿度が高いときには水分を吸って、乾燥したときには湿気を放出します。
壁の間や天井裏など様々な場所に施工できるので、新築にもリフォームにも対応可能です。施工では綿状になったセルロースファイバーを送風機で吹き込んだり、接着剤を用いてスプレーガンで吹き付けたりします。
ウール、つまり天然の羊毛を原料とした断熱材です。羊毛の繊維1本1本にたっぷりと空気を含むことで、断熱性能を発揮します。一見、火に弱そうなイメージがありますが実はそうではありません。ウールは熱が加わると炭になり、燃えにくい素材になります。有毒ガスも発生しないため安心です。虫を寄せ付けないように、体に優しい防虫処理も行われます。
ウールもセルロースファイバーと同様に吸放湿性を有しているので、湿気が高いときには水分を吸収し、表面はサラサラに乾いた状態が保てるのがメリットです。湿度の高い日本には適した断熱材と言えますし、カビやダニ、結露などを防ぐ効果もあります。吸音性もあるので、オーディオ、子供の泣き声、外の騒音などが気になる方にオススメです。
ウールブレスを手やハサミでカットして、タッカーなどで木枠に留め付け施工します。好きな形に手軽にカットできるので、すきまなく充填しやすいのが特徴です。
ワインの栓と同じく、コルク樫という樹木の皮を原料とした断熱材です。コルク樫の樹皮を砕いたものを、高温で蒸し焼きにすることで高い断熱力をもたせています。高温蒸気で固めているので、接着剤を使わず自然に優しい断熱材です。ワインの栓に使われていることからも分かるように、耐水性と気密性にも優れています。
特に水回りに使うのに適した素材です。吸放湿性をもち、室内の湿度を適切に保つ効果もあります。結露の発生を抑制できるので、ダニやカビを防ぐ作用があり、遮音性も持っているなどの魅力的な素材です。
25~50mmのどの厚さのシート状やタイル状などの製品が販売されており、施工方法として壁の内側や床下などに敷き詰め、ピンなどで留めて固定します。
グラスウールはガラスを原料としたリサイクル素材です。主原料の85%が資源ゴミからのリサイクルでできています。線維が複雑に絡み合うことで、無数の部屋が構成されているのが特徴です。この部屋が層となり、かつ何重にも層ができることで断熱性が高まります。住宅の断熱材としてはもちろん、ビルの空調ダスト、給排水管の保温・保冷剤、さらには防音施設の吸音材など、様々な用途で活用されている断熱材です。
グラスウールのメリットとして挙げられる点はコストパフォーマンスと防音性、さらには体への影響です。グラスウールはリサイクルによって生まれています。コストを抑えられますし、ガラスは不燃性なので燃えにくいのが特徴です。火災発生時には家の延焼の防止に加えて、有毒ガスが発生しないというメリットもあります。
発がん性リスクが低いことが国際がん研究機関によって証明されている点から、体に優しい断熱材だと考えて良いでしょう。
グラスウールのデメリットは、水に弱く施工者の技術力が問われるところです。空気によって「部屋」を生むことで断熱性能を高めるグラスウールですが、水や湿気に弱いため、防水シートを用いることが珍しくありません。それに伴い、施工業者の力量が問われます。技術力の低い施工業者だと隙間ができてしまい、断熱性能が低下してしまうのがデメリットです。
ロックウォールとは鉱物から生まれた断熱材です。玄武岩や天然岩石を誘拐し、それらを繊維状にすることで断熱材として用いられています。1938年から工業化されている、歴史のある断熱材でもあるのが特徴です。
ロックウォールのメリットとして、リサイクル可能な点が挙げられます。元々が岩であるロックウォールは、使用済みのものであっても高温での融解により形を変化させての再利用が可能です。
岩であることから耐火性が強い点もメリットです。岩は法定不燃材でもあります。もしも住宅が火災に見舞われたとしても、火災の被害軽減が期待できるのも魅力です。
ロックウォールのデメリットはコストと性能の低下です。岩を融解するのでコストが高くなりがちで湿度に弱く、吸湿することで断熱性能が低下することが懸念されています。
ポリスチレンフォームにはビーズ法と押出法の二種類がありますが、いずれもポリスチレン樹脂から生まれたものです。ポリスチレン樹脂と発泡剤によってビーズ状にするか、発泡させながら押出すことで形成するかの違いがあります。
ポリスチレンフォームはポリスチレンとあって、軽い点が特徴です。そのため、施工の際の負担を減らせます。重い断熱材の場合、運ぶだけでも苦労させられますが、ポリスチレンフォームは軽いので工事が楽です。
水や湿気に強いのも、メリットの1つ。特に押出法のポリスチレンフォームに関しては水分を含んでいないことから、湿気を吸いません。
ポリスチレンフォームのデメリットは、コストの高さと熱に弱い点です。難燃剤が使われているので燃えにくいものの、火が燃え移ると熱によって収縮してしまう特性があります。それが原因で、断熱性能そのものが低減してしまうリスクが発生するかもしれません。
フェノールフォームはヨーロッパで生まれの断熱材です。工業用の資材や建築用の断熱材として普及しているプラスチック樹脂を原料とします。
フェノールフォームはプラスチック素材になので水や湿気に強いのがメリットです。熱伝導率がとても低いため、断熱性が高い点や熱を帯びると硬くなる性質があることから、燃えにくいという利点もあります。
フェノールフォームンのデメリットは価格の高さです。「良いものだからこそ高い」との見方もできますが、熱伝導率の低さという素晴らしいクオリティを持つのも、いわば「価値のあるものだから」こそです。どうしても価格は高くなってしまいます。フェノールフォームを断熱材に使用するとなれば、建築コストの上昇を招くでしょう。
ポリイソシアネートとポリオールを原料としている、プラスチック系断熱材のウレタンフォーム。小さな泡が気泡となっており、そこに封じ込められているガスの熱伝導率が低いことで断熱材として用いられるようになっています。
ウレタンフォームンのメリットとして断熱性の高さ、水や湿気に強い点、そして機密性能が高い点が挙げられます。特に気密性の高さはウレタンフォームならではな部分です。気密性を高めることで断熱性が高まると共に、防音や遮音性など、日常生活において大切な部分の性能も高まります。
ウレタンフォームのデメリットはプラスチックを原料としていることから、熱に弱い点です。ウレタンフォームに限らず、プラスチック系断熱材はどうしても熱に弱いという弱点があります。難燃剤が使われているとはいえ、プラスチックそのものが熱に弱いので、特性まで変えることはできません。
またコストが高くなりがちなので、断熱材としてウレタンフォームを採用するとなれば建築コストも高くなります。
天然繊維から生まれたセルロースファイバーは、アメリカでは最も採用されていると言われている断熱材です。新聞紙のリサイクルによって生まれることから、エコな面からの注目度も集めています。
セルロースファイバーは断熱性もさることながら、吸放湿、防音、防火、さらには防虫など様々な面において効果が期待できる点がメリットです。これらの特徴から、アメリカでは空港周辺の住宅街において防音材として採用されています。
熱に強いことから、表面が燃えて炭化するのみで防ぐ点も特徴です。
セルロースファイバーは施工時には手ではなく、専用機械によって工事する点、さらに性能が高いからこそコストが高くなってしまうというのがデメリットです。長期的には沈下することで上部に隙間ができる可能性があり、ボードが膨らんでしまう点などもデメリットとして挙げられます。
性能そのものよりもコスト面がクローズアップされることもあるのも、デメリットの1つです。マイホームの断熱材にセルロースファイバーを採用することで、他の断熱材を採用するよりも建築コストが高くなってしまいます。
羊の毛を原料とするウール。繊維状の様々な素材が絡み合うことで空気の層を生み出し、断熱効果を高めます。
ウールは防虫効果や調湿に優れています。さらに断熱性能にも優れているので、心地よい住環境をもたらしてくれるでしょう。
ウールのデメリットとして、価格の高さと対応業者の少なさが挙げられます。一般的に普及している断熱材であれば、どの業者でも手軽に引き受けてくれるでしょう。しかし、ウールとなれば対応していない業者も珍しくありません。断熱材としてウールを採用したいと思ったら、まずは対応している業者を探すところから始めます。対応している業者が少ないので、結果的にコストが高くなってしまうでしょう。
木質繊維系断熱材とも呼ばれるセルロールウール。セルロースという名称は、セルロースファイバーで有名です。セルロースウールは線維をマットのように成形加工し、断熱材として使用します。
セルロースウールは軽量であるため、施工しやすいのがメリットです。保湿性が高い点も特徴で、壁内結露を抑える効果が期待できます。
防虫や防カビ処理を行っているものもあるので害虫防止としても役立つでしょう。セルロースウールを使用していた建築物を解体する際には焼却処理が可能な点もメリットとして挙げられます。
セルロースウールのデメリットは、施工業者の少なさによる価格の高さです。もしもセルロースウールを前向きに検討したいと思っても、対応している業者が少ないため、まずはセルロースウールの施工に対応している業者を探さなければいけません。選択肢が少ない点から言い値での施工となり、コストが高くなってしまう可能性が高いのがデメリットです。
その名前からも分かるように、木質の繊維です。「ウッドファイバー」と呼ばれることもあり、環境面に配慮した素材として採用できます。
木質繊維のメリットとして、価格の安さが挙げられます。断熱材の素材は様々ですが、マイホームの建築の際に採用する断熱材は、性能やコストも大切な判断材料になるはずです。木質繊維の場合は比較的安価に済ませられるので、できる限りマイホームのコスト抑えたいと考えている人にぴったりでしょう。
木質繊維は柔軟性に劣ることから、高い施工力が求められます。その場での施工だけではなく、木の変化を踏まえたうえでの施工をしなければいけません。技術力が足りない業者に任せた場合、隙間が生じてしまうケースもあります。
施工力の高い業者に依頼することが大切ですが、木質繊維に対応している業者が少ないことから業者選びも大変です。コストが高くなってしまうケースもあれば、業者を見つけられないので木質繊維の導入を断念せざるを得ないケースもあります。
地中海沿岸にて群生しているコルク樫からできたもので、ワインのコルクとして用いられていることで知られています。空気を遮断し、中身を良い状態で保つコルクは、断熱材としても優れた素材です。
ワインの保管に用いられていることからも分かるように、炭化コルクには調湿性能があります。何年、何十年と保管されているワインが新鮮な状態を保ち続けている点からも、調湿効果が期待できるでしょう。
炭化コルクは自らの樹脂成分によって自然に固まるので、化学薬品での加工を必要としません。そのため、人間にも環境にも優しい素材として利用できます。
炭化コルクは、他の断熱材と比べると価格が高めに設定されているのがネックです。ワインの栓として見かけることから、身近な存在と感じる人も多いかもしれません。しかし、断熱材として用いる場合はワインの栓の何倍もの炭化コルクが必要です。そのため、どうしても価格が高くなってしまいます。
自然素材への注目度が高まっていることから、断熱材でも自然素材をと考えている人が増えているようです。実際、自然素材の断熱材が増えている点からも、ニーズの高さをうかがい知ることができます。しかし、自然素材を断熱材として採用する際には、いくつかの注意点があることも覚えておかなければいけません。
内部結露は自然素材系断熱材を使う上で気を付けなければならないポイントの1つです。表面上には結露が発生していないことから、見落としがちな現象でもあります。壁の中で起きる結露は問題が深刻化しないと確認できないので、「問題なし」と錯覚しやすい点に気を付けなければいけません。放っておくと断熱性能を低下させるだけではなく、カビの繁殖や木の部分の腐食などの「実害」が起こります。
また、木造だけではなく鉄骨においても起きるリスクがあるので、調湿や防湿シートなどできる対策は立てておきましょう。
自然素材系断熱材は非自然素材系の断熱材と比較すると高額です。そのため、自然素材系断熱材を採用する場合、建築コストの上昇を招きます。断熱材はその後の生活を左右する大切なものではありますが、一方で、予算に負担をかけるのがデメリットです。
予算を気にせずに建てたいという人もいるかもしれません。ただ、予算を気にしている人が自然素材系断熱材を採用する場合には、建築コストをよく吟味する必要があります。マイホームは、建築して終わりではありません。建築後も固定資産税や修繕のための積立など、資金を集めないといけません。予算配分を踏まえた上で、自然素材系断熱材を採用するか否かを考えましょう。
自然素材系断熱材を採用する場合、自治体の認証に関しても気を付けなければなりません。自然素材系断熱材は非自然素材系断熱材と比べると、普及が進んでいないのが現状としてあります。家に限らず何かを建設する際には、認証が必要です。しかし、自然素材系断熱材の場合、自治体によって認証が下りないとの指摘もあります。
まだまだ普及が進んでいないがために全国基準が設けられておらず、自治体によって認証が異なるので、普及を阻害するという悪循環が起きてしまっているのです。自然素材系断熱材を採用するのであれば、建築該当地域の自治体に確認する必要があります。
自然素材系断熱材はとても素晴らしい特徴を持っている一方で、限界があるのも事実です。長期優良住宅は熱損失係数(断熱性能を数値で表したもので、小さいほど性能が高い)が2.7と定められています。断熱を意識することで、2.7をより低くすることも可能です。しかし2.0を切ると、以降の数字の伸びが鈍化するとも言われています。
様々な断熱材を組み合わせれば、足し算の如く断熱性能の高い家になるのではなく、一定水準を超えたあたりでどうしても限界が来てしまいます。この点は、自然素材系断熱材に限った話ではありません。
自然素材系断熱材はとても素晴らしい特徴を持っている一方で、適切な施工が大前提として必要です。自然素材系断熱材を扱う業者はまだまだ少ないという現状もあります。自然素材系断熱材を扱える業者を探すだけでも大変ですし、見つけたと思ったら実績が見当たらないので信頼してよいのか分からない…というケースもあるでしょう。
手抜き工事があるとその後の生活に支障をきたし、せっかくの自然素材系断熱材の長所を実感できないかもしれません。実績のある業者かどうかを確認しつつ、自然素材の断熱材を取り扱っているかも調べてみましょう。
断熱材を選ぶときは、家造りで何を重視するのか決めておく必要があります。性能と快適さを両立させたいなら自然素材だけで建てるのがベストですが、予算やデザインなどを一番に考えるのであれば、その限りではありません。
断熱性能だけならグラスウールやポリウレタンフォームで安く施工できますし、性能を上げたいならウールや炭化コルクを使うのもアリでしょう。自分の理想の住まいをイメージし、譲れない条件を踏まえて決めるべきです。
重視する条件を踏まえるのはもちろん大切ですが、施工方法を間違うと自然素材だけの組み合わせでも家は長持ちしません。大切な住まいがあっという間にダメにならないよう、施工方法はきちんと確認してくださいね。
また、自然素材は扱いが難しいため、施工する職人の腕も重要です。自然素材の扱いに長けた職人がいる工務店を選ぶことで、満足いく家が建てられるでしょう。