自然素材の家について、すべての情報を紹介sponsored by 石田工務店
このサイトは 「石田工務店」をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。
自然素材の家でよく使われる無垢材ですが、山から伐採したばかりの木をそのまま無垢材として使用することはできません。山に植えてあった木は内部にたくさんの水を蓄えているため、内部の水を抜く乾燥の工程が必須です。乾燥法には天然乾燥と人工乾燥の2つがあり、それぞれの違いについて解説します。
天然乾燥材は、機械を使用せずに風や太陽熱など自然の力を利用して乾燥させた木材のことです。天然乾燥の方法には製材前に行なう葉枯らしと、製材後に行なう自然乾燥があります。
葉枯らしとは、伐採したばかりの木を枝や葉がついたまま放置し、水分を抜く方法のことです。製材後に行なう自然乾燥では、空気の通り道となる間隔をあけて木材を積み重ねる「桟積み」または逆V字になるように立てかける「はぎ掛け」をして放置し、乾燥させていきます。
天然乾燥は伐採から出荷までに1年~2年以上の期間が必要ですが、ゆっくりと乾燥させることで木材の色やツヤなどを維持できるメリットがあります。
天然乾燥材が自然の力を利用するのに対し、人工乾燥材は専用の機械を使って強制的に乾燥させた木材のことです。人工乾燥なら最短で3日、長くても1ヶ月程度で出荷できるため、流通している木材の多くは人工乾燥によって加工されています。
人工乾燥と言ってもさまざまな方法があり、ここでは代表例として温度によって木材を乾燥させる「低温機械乾燥」「中温機械乾燥」「高温機械乾燥」についてまとめました。
低温機械乾燥は35度~50度程度の温度でじんわりと乾燥させる方法で、人工乾燥のなかでも乾燥時間は比較的長め。仕上がり後の水分や油分のバランスが良く、木の色ツヤや香りを維持しやすいのが特徴です。また、乾燥による内部破損や変色、反り・ねじれなどを抑えることができます。
中温機械乾燥は60度~80度程度の温度で乾燥させる方法で、低温機械乾燥よりも乾燥時間を短縮できます。低温機械乾燥と同様に内部破損や表面割れ、反り・ねじれなどを抑えることが可能。ただし、温度が上昇することで、低温機械乾燥に比べて木の色ツヤが損なわれます。
高温機械乾燥は、90度~120度の温度で木材を乾燥させる方法です。これまで時間がかかっていた木材の乾燥を短時間で仕上げることができ、大量供給を可能にしたことで、国産材の需要拡大に大きく貢献した実績があります。
その一方で、高温で乾燥させることにより、水分だけでなく油分まで飛んでしまうため、色ツヤがほとんどない仕上がりになります。また、木独特の香りが損なわれるケースも多いとのこと。そのほか、内部破損の危険性が大きくなり、強度が弱まることがあります。
天然乾燥材は水分が抜けるまでに長期間かかることから、途中でカビや腐朽菌が発生したり、虫害にあったりするリスクがあります。また、含水率のコントロールが難しいことで表面割れを起こしやすく、寸法安定性は低いと言わざるを得ません。
人工乾燥材は任意の含水率に設定でき、仕上がりをある程度コントロールできるため、寸法安定性が高いのが特徴。使用場所に適した製品を作れるので、建材として採用されやすい木材です。ただし、もともとの含水率が高い木材の場合、人工乾燥だと強度に不具合がでるケースもあり。そのため、木材に合った乾燥方法を選ぶ必要があります。
天然乾燥材は出荷できるまでに数ヶ月~数年もの時間がかかり、その間にカビや菌などで木材がダメになってしまうリスクがあります。また、乾燥させている間の用地の確保や管理などのコストがかかるほか、生産効率が高い人工乾燥材よりも流通量が少ないため、費用が高くなる傾向にあるようです。
ただ、人工乾燥は化石燃料などを使って行われるため、石油の高騰によって製造コストが高くついてしまい、天然乾燥材より高く販売される場合もあります。天然乾燥材と人工乾燥材のメリット・デメリットを考慮したうえで、予算と相談しながらどちらを使うか検討するのが良いでしょう。
天然乾燥材と人工乾燥材で大きな違いをあげるなら、香りや色ツヤです。人工乾燥は天然乾燥よりも高い温度で強制的に乾燥させるため、木が本来持っている見た目の魅力や香りが損なわれてしまいます。温度によってはある程度維持できますが、それでも天然乾燥材のほうが香り・色ツヤの点では優れていると言えるでしょう。
そのため、無垢材を使った家を建てるなら木の香りや色ツヤを楽しみたいという方は、天然乾燥材が適しています。
天然乾燥材の一番のメリットは、やはり何と言っても木の独特な香りや色ツヤを残したまま、家づくりに取り入れられることでしょう。また、ゆっくりと時間をかけて乾燥させることで木の油分が流れ出ず、しっとりとした肌触りに仕上がるのも魅力です。素足で思わず歩きたくなる、気持ちの良い自然素材の家を実現できます。そのほかにも、天然乾燥では木の細胞が壊されないため、高い調湿効果を得られるのも嬉しいポイントです。
天然乾燥材は乾燥までに時間がかかるため、カビや菌、虫害などで木材が損傷するリスクがあります。また、含水率が人工乾燥と比べて下がらず、乾燥後も湿気を吐いたり吸ったりすることで、表面割れや収縮変形を起こしやすいデメリットもあり。そのため、高気密・高断熱仕様の住まいに天然乾燥材を使用した場合、木材が収縮して気密性が損なわれる可能性があります。
人工乾燥材は高温で木材を乾燥させるため、短期間で大量に乾燥材を作れるメリットがあります。また、カビや菌などの損傷を抑えられるほか、含水率をしっかりと下げられるので表面に割れが出にくいのも特徴。乾燥後の寸法も安定しているため、多くのハウスメーカーから選ばれています。
人工乾燥材は水分と一緒に油分も抜けてしまうため、高温乾燥だと木の色ツヤがほとんどなくなってしまいます。また、ゆっくりと時間をかける天然乾燥と違い、短時間で乾燥させることで木の香りが失われてしまうことも。また、内部破損のリスクが大きく、強度の低下を招くデメリットがあります。
人工乾燥には木材の含水率をしっかりと下げて反りや割れを防ぐメリットがありますが、早く乾燥させようと無理なスケジュールで進めると強度の低下につながりかねないので要注意。高温で乾燥し過ぎた木材は、熱劣化によって通常の乾燥材よりも品質の低下を招きやすく、内部割れを引き起こす可能性もあります。そのため、内部割れが少なく、強度面のリスクも小さい乾燥スケジュールで進めるようにしましょう。
天然乾燥材と人工乾燥材はそれぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらが絶対的に優れているということはありません。木の香りや色ツヤを重視するなら天然乾燥材が適しているというように、建てたい家の条件に合ったものを選ぶと良いでしょう。どんな家を建てたいのかのイメージを固めるために、いろいろな事例をチェックするところから始めてみてはいかがでしょうか。