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古くから世界遺産や国宝などのさまざまな建築物に使われてきた漆喰。消石灰(石灰石を1000度以上で熱したもの)に水や糊を加えて作られており、強度が高いため、外壁をはじめとして壁や天井など、さまざまな場所で使用されています。そんな漆喰のメリット・デメリットをみていきましょう。
漆喰は時間とともに固まっていくのですが、その際にホルムアルデヒドを吸着・分解してくれる働きをもちます。
漆喰が徐々に固まっていく過程で、ホルムアルデヒドを吸着し分解する性能を持っているのがポイントです。小さなお子さんや年配の方にペットなど、抵抗力が低いご家族がいる場合に選ぶと良いでしょう。シックハウス症候群のリスク軽減が期待できます。
強アルカリ性の性質を持つ漆喰は、臭いの原因となるカビや細菌を分解してくれるため、脱臭効果が期待できます。
多孔質とよばれる細かい穴が空いた構造をしており、アルカリ性であることがポイントです。細かい穴で呼吸をすることにより、嫌なニオイのもとである酸性タイプをアルカリ性で中和してくれます。強アルカリ性の漆喰成分は殺菌作用が高いため、臭いの元になるカビや細菌の分解作用も期待できるのが魅力です。
生活臭やペット臭の軽減に繋がりますし、ネイルサロンや美容室でも薬剤の臭いが軽減されるとして採用されています。
漆喰は時間をかけてゆっくりと固まっていくのが大きな特徴です。だいたい1日経てば固くなるのですが、全体の3割程度しか石灰石になっていないそうです。すべてが石灰石に変化するには100年ほどかかると言われています。
正しくメンテナンスをすれば、100年を超える耐用年数があるとも言われている漆喰。歴史的建造物の中には、100年以上現存しているものもあります。
漆喰は昔から「呼吸する壁」と言われます。湿気を吸ったり吐いたりするのです。ただ、今の家は昔のように土の壁ではないので、昔ほどの調湿効果は期待できないという意見を持つ業者もいます。とは言え、ビニールクロスと比較すれば、その調湿効果は10倍以上です。
漆喰の目には見えないほどの細かな穴が沢山空いており、この多孔質な表面が湿気をコントロールすることで調湿作用が発揮されます。その作用から、カビ・ダニの発生を抑制する効果も期待されているのがポイントです。強アルカリ性の成分により菌の繁殖を防ぐことから、近年の研究ではインフルエンザウィルスを死滅させる作用を発揮することも分かっています。
漆喰は、建築基準法で燃えにくい建材として認められています。そのため、万が一火事が起こったとしても、ビニールクロスなどの建材と比較すると火が燃え広がるリスクを抑えることができます。
漆喰の多孔質とよばれる細かい穴が空いた構造は、燃えにくい性質を持っています。漆喰は石材と同等の防火性を持ち、また漆喰は固まると石灰岩という石になるため、燃えにくくなるのが特徴です。仮に火が燃え移ったとしても一酸化炭素などの有毒なガスを排出せず、燃え残るほどの耐久性を持っています。
漆喰は音が通りにくい性質があるので、高い防音性が期待できます。
素材の密度が高ければ高いほどその効果を発揮する遮音性。素材の凹凸があればあるほどその効果を発揮できる吸音性と、二つの性質を持つのが漆喰です。月日が経つごとに密度は高くなっていき、多孔質構造なので、防音効果が期待できるでしょう。
ビニールクロスを使用した家は、夏はムシムシし、冬は寒くなりがちです。それは、壁が夏は外からの熱を取り入れ、冬は室内の温度を奪うからです。漆喰は熱の影響を受けづらく、温度を一定に保ちやすい性能を持ちます。そのため、エアコンの効きも良くなります。
漆喰は熱による影響を受けにくいことが分かっており、クーラーや暖房の熱が逃げにくい効果もあるのがメリットです。静電気を溜めにくい性質もあるため、表面に埃を寄せつけないという特徴もあります。
洋風や和風、モダン、古民家など、どんな部屋にも調和させることができます。タイルにも合わせやすいので、スタイルを気にせずに施工をお願いすることができます。
模様のパターンや着色によって、洋風から和風まで多様なデザインが可能です。自由度があるのでデザイン性が高く、左官職人さんの手作業ならではの味わいが出ます。通常の壁だと定形パターンが量産されるため比較的安価ですが、漆喰の外壁は全てが手作業なので、オンリーワンが実現しやすくなるでしょう。
ビニールクロスと比較して、施工に時間がかかる傾向があります。これは、湿式工法により、下塗りしたあとに乾かす必要があるからだそうで、どうしても工期が長くなりがちです。
また、施工できる左官職人が少ないという問題もあります。漆喰を扱える職人さんが減っているのが原因です。職人さんを探すのに苦労したり、又は順番待ちをする可能性も出てくるでしょう。
仮に職人さんが見つかったとしても、施工に時間がかかります。何度も何度も手作業で塗り重ねをする作業。そして一回一回乾燥時間を取らなければならないため、どうしても施工期間は長くなってしまうのがデメリットです。気候や風土による影響を受けやすいのも、時間がかかる原因に数えられます。
漆喰はアートとも言える建材です。同じようにプロが施工を行っても、人によって模様が変わります。その職人さんの腕にかかっているわけです。
漆喰の左官技術は熟練の技を要します。どの世界でも同じですが、技術の高さは人によってピンキリなので、どこにお願いするか慎重に選ばなければいけません。
施工時間もかかり、施工も難しいのであれば、値段が高くなるのは必然です。ビニールクロスと比較すると5倍程度は高くなると考えておく必要があります。
左官職人さんの数が少ない事、仕上げ作業に熟練を要することから人件費による負担は必ずかかるでしょう。工期についても、漆喰の重ね塗り、および乾燥させる期間を空けなければならないので必然的に長くなるのがデメリットです。
VOC(揮発性有機化合物)ではありませんが、塗った直後はしばらく独特の臭いがします。これは漆喰のつなぎとして使われている材料の臭いとなります。しばらくすれば自然になくなります。
粘度を高めて混ぜる海藻から作った糊も含まれるので、施工後しばらくはそれら潮の匂いがすることを覚えておいてください。そういった匂いが苦手という人は、あまりオススメできません。いずれにしても乾燥が進むにつれて完全に無臭となるので、それまで待てるか待てないかで判断が分かれるでしょう。
漆喰はひび割れのリスクがあります。ただし、施工業者に相談してサポートを受け、安心して施工を行う人もたくさんいるので、心配な方はまず相談してみると良いかと思います。
特にひっかき傷がつきやすいので、傷をつけるのが嫌な場合は、できるだけ物を当てないようにしましょう。ただ、ひっかき傷対策を考慮して入れた材料を使い漆喰を作る業者もいます。お子さんがおられる家庭の場合、施工業者を探すポイントの一つにもなるでしょう。
全国的に有名な姫路城の白壁は漆喰(しっくい)でできています。漆喰は、昔から壁材として住居の内外で広く使われている素材です。
漆喰の主成分は、石灰岩を焼いた後に砕いて水と反応させた水酸化カルシウムで、消石灰と呼びれています。漆喰を壁材として施工した場合、主成分である水酸化カルシウムが二酸化炭素を吸収しながら硬化。そこから元の石灰岩に戻っていくという特徴を持っています。建物というのは月日が経てば劣化していくものですが、漆喰の特性を活かすことで月日と共に強固になっていきます。上手くメンテナンスすれば、100年単位で維持できるのがメリットです。
漆喰壁は
などのメリットがあるので、人が多く集まるところや匂いが出やすいところで活用すると効果を発揮します。塗りの仕上げ方によって和洋さまざまなデザインパターンがあるので、リビングでインテリアと馴染ませるのも良いでしょう。抗菌、消臭、防音により落ち着いた空間を作り出せるトイレなどで活用するのもオススメです。
漆喰は調湿作用と殺菌作用により、アレルギー物質の発生を防止する働きがあります。さらに、ホルムアルデヒドを吸着・分解してくれることにより、シックハウス症候群の心配もなくなりますので、健康面でとても良い影響があると言えます。
特に、小さな子どもやペットたちはシックハウスやアレルギーの影響を受けやすいため、リスクを減らすためにも漆喰はおすすめです。ビニールクロスと比べると高いため、悩む方も多いかもしれませんが、100年かけてじっくり固まっていく漆喰は、ビニールクロスのように定期的に張り替える必要もないため、長い目で見ると高いとは言えないのです。
漆喰の家で過ごした人は、清々しくカラッとした空気の中にいるおかげか、リラックスできて落ち着くという人が多いそうです。デザイン性も良いため、候補の上位に上がる建材かと思います。