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カラマツの家

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日本で唯一の落葉する針葉樹であるカラマツ。針葉樹と言えば、一般的には常緑樹で、冬でも緑色の葉を落とさないものですが、このカラマツは秋になると葉が黄色に染まり、針葉樹なのに広葉樹のように落葉することから「落葉松」と書いてカラマツと読むこともあります。そんなカラマツについて、生態や木材としての特徴と用途などをご紹介します。

カラマツっていったいどんな素材?

カラマツ

引用元:木材図鑑(https://wp1.fuchu.jp/~kagu/mokuzai/kara-m.htm)

カラマツの主な産地は長野県や北海道、東北地方などの寒冷地です。

エゾマツやトドマツよりも成長が早く、約30年で伐採できることから戦後復興の1945年頃から1950年代まで積極的に植林された歴史があります。

カラマツは木目が細かく硬い性質を持ち、腐りにくいことから、当初、建築用材や土木資材のために植林されました。

しかし、割れや狂いが出やすく、ねじれる性質も持っていることから、土木用材としては使えるものの、住宅などに使う板材としては不向きと認知されてきた経緯があります。

国産材よりも安価な外材が登場してからは需要が冷え込み、国内の多くのカラマツ林が放置林となってしまいました。

そんなカラマツが木材の乾燥技術や加工技術などの進歩により、今になって見直されてきています。

合板や集成材に加工されて建築に利用される他、独特の風合いや木目の美しさを活かしてインテリアや家具として活用されるなど、用途の幅が大きく広がりました。

長野県では樹齢80年以上のカラマツを、信州ブランドとして売り出しています。

また、30年ほどで伐採できる成長の早さから、循環型林業を叶える「SDGsに貢献する木材」としても取り上げられている注目の素材です。

カラマツの家ってどんな家?

カラマツ年輪や木目は色の赤みが濃く、力強い印象を受けます。そのため、くっきりした木目や色は、カントリー風から和風まで様々な空間によく合うと言われています。また、カラマツに含まれる樹脂成分に耐久性があるので、潮風の当たる海辺の街の外壁材に使われることも多く、湘南などで人気があるそうです。

長野県の大鹿村役場では、カラマツを建築用材として、素材の魅力を広く知ってもらうために、カラマツをふんだんに使用した村営賃貸住宅「大鹿カラマツの家」を建設しました。村内の森林の多くを占めるカラマツの間伐材を有効利用し、土台以外のほとんどの木材に大鹿産のカラマツを使用しています。その他にも、北海道産のカラマツで建てた「カラマツの家」を専門に施工している建築会社などがあります。

カラマツは古くから木杭等の土木用材として使われてきたことからも分かるように強度に優れ、また、経年変化により独特の赤みと艶が増す美しい木目が特徴で、優れた断熱性や調湿効果などたくさんのメリットがあるそうです。

メリット・デメリット

メリット

脂気が多く含まれており、経年ごとに赤みがかった色に変化していく性質があります。時間を経るごとに、風合いの変化を楽しめるのはカラマツの利点と言えるでしょう。

また、年輪がくっきりとして美しいため、木目を最大限に活かして着色なしのクリア塗装で家を作ることもできます。赤黒さが少なく塗料がキレイに映えるため、木目を楽しんだ後に色付きの塗料で雰囲気を変えられるのも魅力です。

デメリット

昔は「割れや狂いが出やすい」「ヤニが出る」などで建築資材には不向きとされていたカラマツですが、脱脂や乾燥技術の進歩によって、今ではそのデメリットが解消されています。

複数の板を結合された集成材として利用されているほか、自然のつくる節や木目の美しさを活かし、フローリング材や外壁材などにも多用されるようになりました。

メンテナンス

脂気を多く含んでいるカラマツは、もともと水や汚れに強い性質を持っています。そのため、特に特別なメンテナンスをする必要はありませんが、汚れがついたときなどは、乾いた布や雑巾で乾拭きすると良いでしょう。

汚れが目立つ場合は水拭きするのも良いですが、吸水性が良いため水に浸したままにしていると水シミなどができることがあります。水拭き後は必ず乾いた布で乾拭きするようにしましょう。

価格帯

カラマツの家を建てるにはどのくらいかかる?

建築業界で行われる木材の取引は、1m×1m×1m分の体積=立米(りゅうべ)で行います。

住宅に利用する際のカラマツの立米単価は60万円程度で、一般的な赤松やヒノキの52万円と比べるとやや割高です。

ヒノキを使った木造住宅の平均坪単価が50~80万円なのに対し、カラマツの家は坪単価が57~92万円。30坪の家を全面カラマツで建てるとなると、単純計算で1,710万~2,760万円となります。

国産カラマツの価格は上昇傾向にある

カラマツは、ひのきや赤松よりも割高にはなりますが、木目や節の美しさを楽しみたい方や塗料映えにこだわりたい方にはおすすめです。樹齢70~80年級の上質な国産カラマツも登場しているので、予算に応じて検討してみると良いでしょう。

ただし、新型コロナや世界情勢の悪化の影響を受け、令和2年以降の木材の価格は高騰しています。カラマツの価格も上昇傾向にあるため、家を建てるタイミングによっては価格が思った以上に変動する可能性を考えておかなくてはなりません。

また、住宅の価格は建物の坪単価によって総額が決まるのではなく、付帯工事や設備費なども含めた価格となります。上記の計算はあくまでも素材ごとの目安として捉えてください。

どんなところに使われているの?

カラマツは戦後、とくに電柱用材として植林されましたが、時代とともに用途は変わっています。住宅建設では、柱や梁(はり)、垂木(たるき)などのほか、床材や壁材にも使われます。赤身(あかみ)や節が多いため、味わいのある仕上がりが魅力です。用途別の生産量を見てみると、約半分が製材用として使われているようですが、近年では特にカラマツを使った集成材が増えました。

同じマツでも、いわゆるパインと呼ばれるものは、北欧産のアカマツを指すのが一般的で、女性に人気の北欧家具にもこのパイン材が使われています。

カラマツの家を建てる際に気を付けたい事・注意点

ねじれが出る可能性がある

カラマツには繊維がらせん状に育つという特性があり、乾燥後にねじれや割れが出やすいことから、建材として長らくスポットライトがあたってこなかった木材です。現在では乾燥技術の進化によってカラマツの弱点が改善され、その強度の高さや色合いの美しさから評価を高めています。ただし、建材によっては乾燥が不十分でねじれが出る可能性があります。

カラマツの家を建てたい場合は、ねじれが出ないように乾燥法が工夫されたカラマツを取り扱っている工務店やハウスメーカーを検討するのが良いでしょう。質の高いカラマツを取り扱っている工務店・ハウスメーカーを選ぶことで、満足度の高い自然素材の家に近づけます。

工務店で値段が変わることもある

カラマツの値段は取り扱っている工務店・ハウスメーカーによって異なるため、コストをなるべく抑えたいなら複数の工務店・ハウスメーカーに見積もりを依頼して値段を比較しましょう。

ただし、ここでも注意したいのがカラマツはねじれや割れなどが出やすい木材という点。安価なものだと乾燥が不十分で建材として使うには不安が残る可能性もあるため、安さだけで選ぶのはおすすめしません。

質の高いカラマツかどうかを確認したうえで、予算と相談しながら依頼する工務店を検討しましょう。

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